卒業生の紹介

杉山 鉱一さん(裁縫技術者:フリーランス)

略歴

平成17年アパレル総合科II部卒業。
在学時よりダンスウエアの縫製に携わる。
卒業後、リフォーム縫製を担当。その後プレタ縫製に従事。
平成23年に独立し、現在は自宅のアトリエで縫製の仕事をおこなっている。

杉山 紘一さん

前職・独立するまで

卒業後に就職した会社では、僕が男子としては初めての社員で、最初から3年で一通りのことを覚えて独立するという話になっていました。
その会社はレディースがメインなのですが、 きっとベテランの人が多いんだろうなと想像していましたが、大勢のスタッフのほとんどが20代前半の若い女性でした。
そこでは1年目にアイロン・裏地、2年目で袖付け・ポケット部分、そして3年目で徐々に複雑な作業というシステムがありました。
周りの人の助けがあり、どんどん複雑な作業を担当するようになりましたが、それもこれもとにかく縫製が好きだったからだと思います。
学生の頃、大量生産のジーンズ工場の現場を知りたくて、早速あちこちへ電話をしてある 岡山の新見のメーカーへ住み込みで1ヶ月ほどお世話になり、
ジーンズの工程を必至で覚えたこともあります。まず直感が働きすぐに行動。運が良かったとも思うのですが、いつも自然体で大好きな縫製と向き合っています。

オーダーメイドの魅力

オーダーメイドの魅力というのは、単にカラダに フィットするというだけではなく、その人の個性を服で表現できることだと思うのです。
子供の頃、遊びに行くとき友達と着ている服が時々被ることがあったんですね。
育った街はそんなに大きくないため、買う店もそう多くなかったので。
僕はそれがすごく嫌で、その頃からなんとなく「自分だけの服を着る」 というのがちょっとした夢でした。
市場もファストファッションの対極にオーダーメイド がクローズアップされるようになってきていると思います。
だからこれからの時代は、もっとそういうニーズがあると考えています。
しかし、実際には服作りには色々な工程があるので、 店舗を持たずとも様々な技術と経験をもつ仲間とチームでオーダーをこなしていきたいと考えています。

アトリエでの作業風景

フリーランスという仕事のスタイル

朝起きてベランダから下を見ると、出勤する人たちが駅の方へ向かって歩いていく。会社にいると人と話すことは当たり前だけど、
自宅のアトリエにこもると一日中誰とも話せない日もあるわけです。
だからこそ、お客さんや仲間たちとの繋がりのありがたさがよくわかるのだと思いますが、正直、不安になることもあります。
また仕事に対して恐怖心があるということは、向上心があるということなんだと思います。僕らの仕事は、普段の様子を他人に見られていないので、技術も努力も作ったモノでしか表せない、証明できないんですよね。
最後に、田中千代の卒業生には、何かとこだわりをもっている人が多い。これからはぜひ、もっといろんな人とも話がしたい、色々な考え方を聞いてみたいと思います。

聴き手からの一言

終始、穏やかに話をされる杉山さん。 しかし縫製のこととなると熱く語られる姿が印象的でした。
今の時代、最初から最後まできちんと服を縫える人は減ってきていると思います。
もの作りの素晴らしさや価値を、田中千代の卒業生のネットワークを活かしてもっと実現できたら素敵だな、そういったアイデアも湧いてくるインタビューでした。

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